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ライブバンド・アップル&ペアーズの1999年は、吉祥寺Star Pine's Cafeで幕を開けた。 「ライブバンド」と私が書いたのは、何もライブ原稿だからなんかじゃない。 誰がなんと言おうと、a&pの真骨頂はライブであると、私は信じているからだ。 勿論、ディスクでもa&pの良さは充分に伝わってくるし、いくらライブバンドと云えども、1枚のシングルでしっかりと「自分達らしさ」を伝えられないバンドは、良いバンドとは呼べない。 しかし、私は、やっぱり信じている。 a&pがいちばんカッコ良くて、いちばん「自分達らしさ」を出せるのは、ライブ・ステージの上だということを。 |
岡田純は、よくこんなことを言う。 「自分にとっての音楽って、自分は今こういうことを考えているんだよ…っていうのを伝えるために、手紙を書いてるようなものなんだよね。たとえて言えば、シングルはハガキ、アルバムは手紙、って感じで…」 それじゃぁライブは、さしずめ、「お茶やお酒なんかを飲みながら、思いっきりぶっちゃけた話をする」…って感じなんだろうか。 岡田純が、ライブについてどういう例え方をしているのか知らないけれど、遠からず、当たっているように思う。 4人それぞれが、素顔のまんまで、饒舌になる場所。 それが、a&pにとっての、ライブ・ステージなんじゃないかと思う。 |
そこで、今夜のライブ・ステージだが。 ”夜を越えたい”でスタートした1999年初っぱなのライブは、…最初に言ってしまって良いのかどうかわからないけれど…、ただただ「素晴らしい」の一言だった。 それ以外に言葉が浮かんでこないのが、少々、悔しい。 今回のひとつめの目玉は、3月3日にリリースされる6枚目のシングル”ずっとずっと”が初披露されたことだ。 一度聴いたら頭から離れないイントロに、胸がきゅっと締め付けられるようなメロディ。 この曲を聴く度に、鼻の奥がツンとする私がいる。胸に襲ってくる、このどうしようもない切なさは、一体どこから来るのだろう。 圧倒的なポップ感に、考えている暇も与えてくれないまま、a&pは次の手を刺してくる。 さて、今日、2月2日は、岡田が敬愛するバディ・ホリーの命日である。彼は毎年、2日と3日はバディの曲のみを聴き、彼なりの追悼をしているのだとか。その為、今夜のステージは、ちょっとスペシャル・バージョン。 このために用意した、特別のSEと小道具のメガネで、”カム・オン・レッツ・ゴー”と”エヴリデイ”2曲のカヴァーと、「実はバディ・ホリーに捧げた」という”45r.p.m.”。 この、今夜のふたつめの目玉。お馴染みのカヴァー曲ではあるけれど、なんだか、いつもと違う雰囲気。 それは、彼らが普段よりも少し、「ポップスの諸先輩達」への愛情を、多めに抱いていたからかも知れない。 その「音楽への愛情」をきつく抱きしめたまま、ラストの”レインレイン”まで、a&pは突っ走った。 決して平坦とは呼べないこれまでの道のりと、辛いことばかりではなかったと思える半生を、4人それぞれがきっちりと抱え込み、それをひとつの音の塊にして、私達に届けてくれた。 その音の塊は、「まだまだ、やりたいことがたくさんあるんだ!」という叫びにも聞こえてくる。 その熱さと力強さが、”レインレイン”のエンディング、掻き鳴らされるギター2本と、全身を揺さぶるリズムに、そのまんま表れていた。 言葉もなく、客席を見るでもない、お互いの姿すら目に入っていないように映る4人が、とてつもなく大きく見えた。 a&pって、どんなバンド?…と聞かれたら、 --------a&pは、ライブバンドだ。 私は、そう答える。ずっとずっと、答え続ける。 |
今回のおまけ。 リハーサル終了後、一服しつつ、本番についてのいろいろな確認をしている、ハナちゃん&ノリちゃん。 このノリちゃんの真剣な表情、緊張感が伝わってくるでしょう…? |